海外のお客さん、現地社員、社内の各関係者などなど、色んな人と接する駐在員は
社交的な人に向いている職業のひとつかもしれません。
たくさんの人と話す機会が多いので「社交的な人の方が向いてそう」な駐在員ですが、内向的な人にはできないのでしょうか?
答えはノーです。
僕は典型的な内向型パーソンですが、駐在員としての仕事を3年以上こなしてきましたし、現地では営業マネージャーとしてそれなりの実績も積んできました。
本記事では
・自信ないけど海外での仕事にチャレンジしたい ・内気な自分に駐在員は無理そう・・・
こんな想いを持つ内向型の人が「持ち味を発揮できるようにはどうしたらいいか」、僕の経験を踏まえ解説していきたいと思います。
口下手でシャイな営業マンだった日本での日々
シンガポール駐在員になる前は、日本で8年ほど営業をやっていました。
国内のお客さんに商品を売り込んだり、交渉したり、収益を最大化するための事業計画を立てたり。そんな仕事です。
- 営業トークでお客さん魅きつけ
- 格好いいプレゼンテーションで社内外を説得し
- 接待でバッチリ閉める
世間一般にイメージされる理想的な営業マン像はこんな感じだと思いますが、内向型パーソンである僕は全く違うスタイルの営業をしてました。
具体的にはこんな感じです。
・雑談はせず、お客さんとの面談は長くても30分くらい ・交渉やプレゼンは要点だけ伝える淡白なもの ・飲み会も本当に親しい人とだけ
8年間の営業生活で少しでも社交的になれるよう頑張ってきましたが、どうやっても上手くいきませんでした。
営業マンとして僕が生き残る道は、お客さんのニーズと商品が提供できる価値を合わせることを真摯に追究することだけでした。
幸いにもそれを評価してくれるお客さんが少なからずいて、コツコツと実績を積み上げていきました。
その実績を買われて海外赴任が決まったのですが、駐在員に必要とされる”社交的なスキル”を持っていない僕は赴任先で苦しむことになります。
苦悩に満ちた駐在初期
赴任当初の僕に対して、上司からの評価基準は「社内の飲み会での頑張り」でした。
具体的に求められたのは
- 飲みに誘われたら必ず参加する
- 飲み会を盛り上げる
の2つです。
どちらも僕が最も苦手とする分野です。
狭い駐在員コミュニティ
駐在員の先輩方は皆
「駐在員同士で飲みに行って日頃のストレスを発散する」
「飲み会での立ち振る舞いで仕事ができるかどうかわかる」
というマインドを持っていました。
飲みの誘いを断るのは論外、飲み会では若手が盛り上げてなんぼ。そんな世界です。
飲み会そのものが苦手で上手く立ち回れない僕は
- 先輩のお酒を切らす
- 話がつまらない
こんなことで朝まで説教され続けました。
参加することだけでも負担を感じていた僕は、毎日のように飲み会で怒られる日常に
「これが駐在員コミュニティか😱」
と暗い気持ちになっていきました。
辛かった仲間外れ
赴任したばかりで先輩方に仕事を教えてもらわなければならなかった僕は、駐在員コミュニティ中で我慢するしかありませんでした。
気の進まない飲み会に連れて行かれてもなんとか耐えるようにしましたが、とうとう限界が来ました。
ある送別会の二次会で入ったラウンジのでテーブルに座っていたら、先輩社員から
「お前と話してもつまらないからカウンターで一人で座っとけ」
と言われ、終了まで一人で3時間何もせず過ごしました。
どう考えてもおかしいのに、周りは見て見ぬふり。
「会社の命令で赴任しただけなのに、どうしてこんな目に会わないといけないんだ・・・」
そう感じながらなんとかお開きまで耐え、家に帰ってから何度も泣きました。
ある本に出会う
その日以降、僕は人と話すのが怖くなっていました。
思い返せば、うつ病になりかけていたと思います。
それでも立ち直りたいと思っていた僕は、
「内向型の自分がこの社会で生きていくためにどうしたらよいか」
その指針を探していました。
たまたまインターネットで見つけた内向型の記事で紹介されていたこちらの本を読んでみることにしました。
どうやら僕はHSPというタイプの人間だったようです。
HSPとは、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼び頭文字をとって「HSP(エイチ・エス・ピー」と呼ばれています。
HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、即生まれ持った性質であることがわかっています。
統計的には人口の15%~20%。5人に1人があてはまる『性質』であり、稀ではありませんが、裏を返せば、約8割の人はこの性質にはあてはまらないため、HPSの特性は共感を得ることが難しく、HPSでない人たちとの差に自己嫌悪を感じることや、まわりに合わせようと無理をして生きづらさを感じやすくなる性質といえます。
長々と書いてありますが、簡単に言うと、
外部から受け取る刺激が強すぎるがゆえに人前にいると疲れてしまう
こんな性質の人たちです。
これを知って
- 内向的なのは自分の生まれ持った特性で悪いことではない
- 無理に外向型の人に合わせる必要はない
ということに気付き、心が軽くなりました。
立ち直るために・・・
改めて自分の性格を知ることができた僕は、無理のないように以下の行動をとることにしました。
- ストレスの原因を避ける
- 自分の居場所を見つける
- 内向型の強みを仕事に活かす
方向性を見つけ一件落着のように思えたのですが、ここからも山あり谷ありでした。
そのときのエピソードをひとつひとつ紹介していきます。
ストレスの原因を避ける
「ストレスの要因はとことん排除してやる💪」と思った僕は、駐在員同士が集まる機会をできるだけ避けました。
その一つが会社の昼休みです。僕の会社では日本人駐在員が全員一緒に昼食をとるという習慣がありました。
ただご飯を食べるだけなら問題ないのですが、そのときも嫌味を言われていたので僕にとってはストレスそのものでした。
耐えられなくなった僕は、思い切って弁当を持ち込んでオフィスで食べることにしました。
先輩社員から文句は言われましたが(今でも言われてます😅)、辛い時間が減ったため思った以上に楽になりました。
自分の居場所を見つける
自分から駐在員コミュニティから距離をとったわけですから、先輩社員から当然のことのようにしっぺ返しがきました。
あるとき提携先のホテルのレストランで会社全体のランチ会がありました。
アポイントから直行した僕は少し遅れて参加。
そしたら僕の席はありませんでした。
日本人の人たちは席を開けてくれる様子もなく、また見て見ぬ振り。
仕方なく一人でぼっちで離れた席に座る僕。
「いくらなんでも大人気ない。こんな世界嫌だ。もう辞めて帰ろう。」
そう思った時、奇跡がおきました。
一人の現地社員が僕の席に来てくれて『一緒に食べよう』と声をかけてくれたのでした。
その人は僕の気持ちを察してくれたようで、食事中も色んな話をしてくれました。
「海外でも僕みたいなヤツに優しくしてくれる人はいるんだな。もう一度頑張ろう。」
と思ったのでした。
それ以降、他の現地社員とのコミュニケーションも増えました。
ローカルスタッフも弁当を持ち込む人が多く、今でも昼休みにフルーツを分けてくれたり、話しかけてきてくれたりします。
仲良くなると生活面で困ったことも助けてくれたりします。
このように日本人コミュニティに縛られず、早く自分の居場所を見つけておくべきでした。
特に昼食会で声をかけてくれた人には本当に感謝しています。
今こうして僕が駐在員を続けられているのもその人のおかげです。
内向型の強みを活かす
先輩社員から毎日ように
『お前は喋らないし、話しても面白くないから駐在員に向かない』
という嫌味を言われ続けてきた僕は、スミマセンと言いながらも
「外向的であろうが内向的であろうが仕事のパフォーマンスには関係ないのではないか」
そんな風に思っていました。
どうにか自分の個性を仕事に活かせないものか👀
元々、「落ち着いたところで本を読んで知識を高める」そんな生活を愛していた僕は、読書量と勤勉さには自信がありました。
読書や勉強で培った知識を仕事に注いでみよう☝️
そう思って、あらゆるビジネス書や専門書を読みあさり、インプット→アウトプットを繰り返す。それに集中して仕事に取り組みました。
気づいたら他の駐在員よりマーケットや商品知識に詳しくなり、彼らが思いつかないような新しいアイデアをどんどん出せるようになりました。
内向型の人が持つ強みのひとつとして、相手の気持ちをよく感じるところがあります。
「海外のお客さんのニーズを吸い取ることを苦手とする日本人が多い中で、この長所は活かせる」
と思った僕はお客さんとの会話やメールの一言一言を注意深く観察するようにしました。
そうしていくうちにお客さんへのサービスも洗練され、売り上げも増えていき、周りからも一目置かれるようになっていました。
日本人と違って、海外のお客さんの多くはダラダラと議論しません。
短い言葉の中に要点が隠されているので、そこに焦点を当てて対応していけば上手くいくことが多かったです。
このように海外でも内向型の人間が持つ長所を、仕事に活かすことは充分にできると身をもって知りました。
まとめ 内向型でも駐在員は務まる 強みを活かしましょう
駐在員の仕事は海外でビジネスを大きくすることです。
もちろん駐在員同士の飲み会といった外向的なスキルが必要な仕事もありますが、そんなのはほんの一部です。
内向型の人には
・情報を深く洞察してアウトプットにつなげる力 ・相手の心理をじっくり考える力
などの素晴らしい長所があります。
特に文化や価値観が違う海外ではこういった強みが必要とされるケースが多々あります。
内向型の人が持つ独自の能力は、必ずお客さんや周りのスタッフの役に立ちます。
人付き合いが苦手でもあなたの魅力は変わらないのでどうかご安心ください☺️
コメント
Everyone has their own unique personality, and the most important thing is to see how they can make good use of it and make it more effective and become your strengths.