BtoBの営業について考えてみた

シンガポール

世の中を陰で支えるBtoB企業。
僕はそこで営業マンとして10年ほど働いていますが、悲しいことにその存在を知らない人の方が圧倒的に多いです。

「毎日こんなに頑張ってるのに知名度が全然上がらない」

こんな悔しい想いをすることもありますが、それは会社や従業員のアピールが足りない証拠でもあります。

最近インターネット上にBtoB企業や法人営業の記事が増えつつありますが、まだまだ少ないのが現状です。

そんなわけで、今回は『世の中のBtoB認知度』を少しでも上げるため、僕がBtoB企業で仕事をする中で感じたことをシェアしていきたいと思います。

「BtoBって何?」という方から「BtoB企業で働いてみたい」という方まで読んでいただけるようできるだけわかりやすく書きました。
それではご覧ください。

そもそもBtoBとは

企業が販売する商品やサービスは、大きく分けるとBtoBBtoCの2種類に分かれます。
BtoBBusiness to Businessの略で、簡単にいうと企業向けのビジネスです。

もう一方のBtoCは、Business to Consumerといい、消費者向けビジネスを指します。
ものすごく簡単にまとめるとこんな感じです。

取引先 商品・サービス例 会社の例
BtoB 企業 工場のセンサー
分析
キーエンス
島津製作所
BtoC 消費者 自動車
運搬サービス
トヨタ自動車
JR

BtoB企業に務めるメリット

BtoB企業に務めるメリットは

  • まったり感がある
  • 物価を先読みできる
  • クビになりにくい

などがあります。

まったり感がある

 

一般消費者を相手にするBtoC企業とは違い、BtoB企業はまったり感があります。
企業を相手とするので、就業時間後に電話で追っかけ回されることはほとんどありません。
相手も定時があるので、それを過ぎると基本静かになります。

「仕事とプライベートのメリハリをつけたい」

そんな人には合っていると思います。

以前の記事でも紹介しましたが、部署にとっては激務のところもあるのでその点は運次第です😌

物価をちょっとだけ先読みできる

 

これはあまり知られていませんが、BtoBの仕事をやっていると物価をちょっとだけ先読み出来ることがあります。

僕の勤めている会社ではプラスチックを扱っていますが、その元の原料は原油です。
プラスチックの値段は原油の価格によって変動します。

商品の価格に影響するので、自ずと原油の動静をチェックします。
そうすると原油に紐づく商品の価格の流れがわかるようになります。

例えばガソリン。
ガソリンも原油の価格で変動するので、

「原油が上がっているので、ガソリンも高くなりそうだな」

と予測が出来ます。

こんな感じで、物価の変動をちょっとだけ先読み出来たりします。

クビになりにくい

 

企業向けのビジネスは

・商品やサービスのライフサイクルが長い
・お客さんにとって切り替えのコストが高い
・ターゲットとなる客層が限られている

ことから、ある意味安定していると言えます。

そのため、必要な人数だけを採用している印象があります。
ビジネスも安定しているし、人員にも限りがあるのでクビになりにくいです。

安定した雇用環境を求める人はオススメです。

BtoB企業に務めるデメリット

一方、BtoB企業のデメリットは

  • 知名度が低い
  • 最終消費者の動向がわかりにくい
  • 情報を得にくい

です。

知名度が低い

 

BtoB企業はターゲットとするお客さんがある程度限定されているため、大々的に広告を出すことが少ないです。
消費者に直結するBtoC企業と違い、普段から会社の存在を身近に感じることはありません。

知人に勤務先を話しても

「何してる会社なの?」

と聞かれることがほとんどです。

このようにBtoC企業に比べ、知名度は圧倒的に低いです。
特に合コンでモテたい人は、会社のブランドでは勝負出来ませんのでご注意ください😌

最終消費者の動向がわかりづらい

 

原料などの動向はよくわかるのですが、お客さん経由でしか最終消費者に接する機会がないのがBtoB企業の特徴です。

お客さんの動向だけ見ていると

「これからどんな商品やサービスが人気になるだろう」

というようなビジネスにおいて必要なアンテナが鈍っていきます。

『決められたお客さんをフォローするだけ』でも仕事が成り立ってしまうのがBtoBの良いところでもありますが、

世の中の変化に鈍感になってしまう危険性も常に持っている

ことも知っておくと良いと思います。

販売ノウハウを学びにくい

 

BtoB企業で働いていてると

「ニッチすぎて、売り方がわからない😓」

こんな悩みによく直面します。

BtoB企業は特定のお客さんを対象としているため、商品やサービスの販売ノウハウとなるヒントをインターネットや文献で簡単に見つけるのが非常に難しいです。
企業側も商品やサービスのコアとなる情報を容易には出せないからです。

そのため、販売ノウハウを獲得するまでに

会社である程度修業を積む→商品やサービスの知識が身につく→やっと売り方がわかる

このようなプロセスを経なければならず、結果が出るまでにはそれなりの時間がかかります。

BtoB営業の特徴

僕はBtoB企業で10年ほど営業をしていますが、特徴は

  • 専門性が必要
  • 一回の取引額が大きい
  • 採用まで時間がかかる

こんな感じかなと思います。

専門性が必要

 

BtoBの営業では、企業がお客さんになります。

・本社の購買
・工場の設備責任者
・研究所の開発メンバー

などなど、商品やサービスの特性によって様々な人に関わります。

各担当者も会社を代表して購入するので、

「俺らを納得させてみろ」

というスタンスで商談に臨みます。
そんな人たちを納得させ、買ってもらうにはある程度の専門知識を身に付ける必要があります。

お客さんに中途半端なことは言えないので、BtoBの営業マンは日々

『広く、深く』

商品やサービスの周辺知識を学ぶことになります。

僕の場合は商品だけでなく、原料購入や物流、製造工程や品質保証なんかも徹底的に勉強しました。というより、せざるを得ませんでした😅

お客さんに接するたびに身に付けなければならない知識が増えていくので、好奇心の強い人にはオススメです。

一回の取引額が大きい

 

企業が相手だと、一回あたりの取引額が大きくなります
僕の場合は小さくて数万円、大きいと数十億円のものもあります。

大金を動かすことになるので、ちょっとのミスが致命的になります。
そのため、仕事に対する責任感が自然と身につきます。
自分のミスが会社に大きなダメージを与えてしまうので、当然ですね。

一方で、若手の頃は限られた仕事しか任せてもらえないことが多いので、

「失敗を通して学ぶ」

という文化が育ちにくいのはネックかなと思います。

意思決定に時間がかかる

 

一回の取引額が大きいので、買う側はどうしても慎重になります。
そのため、BtoCに比べ意思決定に時間がかかります

会社によって意思決定のプロセスは様々ですが、

担当が検討→その上司が検討→その部署のボスが検討→会社として決裁

というような感じです。

紹介してから採用まで半年は当たり前、長いところで3年かかる場合もあります。

すぐに結果が出ないので、胆力が必要になってきます。

これから求められる要素

世の中が刻一刻と変化しているように、BtoBの営業にも変革期が来ているなと日々感じます。

「今後、BtoB営業で必要になってくる要素は何か?」

僕が思うのは

  • Webマーケティングができる
  • BtoCの視点を持つ
  • 新しいことにチャレンジする
  • 素早く意思決定する

この4点かなと。

Webマーケティングができる

 

最近の購買担当者の動きを見ていると、インターネットで情報を仕入れながら検討する人が増えたなと感じます。

その背景には

  • コロナの影響で、対面での商談の機会が減った
  • ネット上で価格やサービスを簡単に比較できる

ことがあると思います。

その結果、お客さんが商品やサービスを検討するときの流れが

面談で時間をかけてじっくり情報収集→Webで効率よく情報収集

に変わってきているのかなと。

このようなったからには、

Webを使って効率よく集客や売り込みをする

スキルが重宝されるはずです。

日本のBtoB企業はWebを使いこなせていないところが多いので、Webマーケティングができる人は必ず活躍できると思います。

BtoCの視点を持っている人

 

産業用の資材を売っていると

「単なる素材売りだと競合に勝てないな」

とよく感じます。

お客さんの技術レベルも当然ながら上がってきていて、安くて品質もそこそこの海外品を簡単に使いこなします。
一方で、海外の競合とコストで勝負しようとすると、日系企業の規模だとなかなか厳しいのが現状です。

そこで差別化が必要なのですが、その際には

単に商品やサービスを売るのではなく、お客さんや消費者の課題を解決する

という視点が重要になって来ます。

例えば、今僕は食品添加物を売っていますが、コストが安い競合はアジア周辺にたくさんいます。
材料売るだけだとしんどいので、

・その商品を使った料理のレシピの開発

・商品独自が持つ効能の見える化

などお客さんやその先のニーズに応えるサービスを展開しています。

最近、お客さんが求める価値は

モノからコトへ

変わってきているので、最終消費者のニーズを捉える視点が必要になります。

今後はそのように一工夫入れた『BtoC的な発想』を持った人が活躍するようになってくるはずです。

新しいことにチャレンジできる人

 

このように新しい視点が必要なため、言われたことしか出来ない人間は淘汰されていくようになると思います。

今までやったことのないことでも

試行錯誤を繰り返しながら挑戦できる人

こんなマインドをもった人が活躍できる時代になっていくはずです。

「保守的なBtoB業界に殴り込みをかける💪」

そんな熱い人が増えてくれると嬉しいなと思います。

スピード感がある人

世界的に見てもまだまだ大きいですが、人口が減っていく日本市場はやがて縮小していきます。
そうなると見ないといけないのが、海外市場。

競合には欧米や中国など強い企業がわんさかしています。
そんな彼らの特徴は、なんといっても『意思決定の速さ』です。

日系企業だと検討に1ヶ月かかることを1日で決めるなんてこともザラです。
僕は海外で働いていますが、スピード感の必要性を日々痛感しています。

世界のスピードを意識し、企業を変革する

そんな人が増えていけば、日本のBtoB企業はもっとよくなるはずです。

BtoB企業で働きたい方へ

「BtoB企業で働いてみたい」

そんな就活生や転職希望者にオススメしたいのがこの本です。

日本のBtoB企業の問題点今後向かうべき方向性がわかりやすく書かれています。
今BtoB企業は変革期に入っているので、この本で学んだ知識は実務に活用できると思います。

まとめ BtoBもBtoCもやることは同じ

僕は会社ではBtoB、個人ではBtoCの仕事をしています。
両方経験した感想としては、

お客さんに価値を提供する

という『仕事に必要なマインド』は同じなので、どちらも変わらないかなと。

BtoBでも最終消費者の動向を知ることで商品やサービスが改善しますし、BtoCでも上流のことを知ることで仕事の幅が広がります。

消費者が求める価値が多様化している今は、BtoBとBtoCの定義も曖昧になってきている印象さえします。

お客さんのために精一杯努力する。
どんな仕事でもこの姿勢を持つことが大切なんじゃないかと。

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コメント

  1. Yin より:

    Thank you for your hard work in writing such an excellent article. After reading it, I think I have gained a lot!

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